絵やイラストなどのドローイング作業と言うのは、右脳が発達していないと感覚的に弱かったり、単純に才能の開花を望んだり、絵をうまく描きたいと息んでしまうことはよくありますが、実は絵というのは訓練次第でどこまでもうまく描けますし、21世紀はうまい!ではなく良い!という思考が優先され、写実的に描く事は重要ではなく、ある種自己満足の世界であると言ってもいいぐらいです。
人間には文字と同様に絵を描くことの重要性が遺伝子に組み込まれており、何かを説明する時には、図式にして物事を簡略化させる能力と言うのは、むしろ本能的ともいえますので、自分は絵が下手だからと思っても全てを放棄する必要はありません。本当に単純な構造の中で、成立する仕組みなので絵は難しい、絵画芸術は次元が違うと言う思い込みは捨て去るべきです。ただ何も準備しないで楽観視するよりも、楽しむための絵画を自己の中で発育させてみてはいかがでしょうか。
まずは日常生活における野心や夢、ネガティブな精神から来る不安要素を1つの映像に置き換えるという思考訓練を日ごろから行っておく事は重要で、ぱっと思いついたことを脳が指に伝えて、形にするというイラストレーションの世界にある想像したものを表現する力が開花することになります。考えるという行為は睡眠時にも夢という形で現れることから、24時間無意識のうちに行われているわけですが、まずは一端生まれる様々な感情を色に置き換えることから始めてみましょう。
例えば今日は暑いからアイスクリームが食べたいと思ったときには、アイスクリームを想像するのではなくて、気温を下げたいと言う欲望を重点的に追ってみるのです。それが青なのか赤なのか黄色なのかは、人それぞれ違ってきますが色を想像できたら四角や丸、三角と順に想像した形を簡略化させて、イメージングをスライドさせるように次々と頭の中で単純な図形と色を作っていきます。もちろんすぐにできることではありませんが、訓練次第で想像から現実世界を織り成す絵というものの基盤ができてくるのです。
おとなは子供の絵を味があると思ったり、未熟だと思ったりするわけですが、結論から言うと子供の絵は素晴らしいの一言に尽きます。もちろんうまい下手はあるかもしれませんが、子供の絵に共通するのは脳の中でうごめく感情が、しっかりと色彩感覚も含めて1つの形になって表現されている事こそ1つのスキルであると言えます。想像の賜物と言っても良いほどに豊かなビジョンの元に成り立っている事が分かりますし、何を考えているのかが絵を通して伝える力がそこには備わっているのです。
例えば人の顔が宇宙人のようになってしまったら、それは失敗作であると誰もが思うかもしれませんが、問題は全体の構成力がどこまで進むかが、絵の良し悪しを決めるので、部分的なことは気にせずに広い視野で見守る必要があります。悪い要素も別のものを描き加えたり、削除することによって構成は変わってきますので、諦めずに粘って描き上げると言う行為は、絵を描くことにおける非常に重要なメタファーになってくるので、発想の転換こそが勝利への道へと繋がっていきます。
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