何を描いてもうまくいかなくて落ち込む事はよくありますが、そんな時は思いっきり力を込めて、集中して描きたいものを描いてみましょう。絵は相対評価を気にすると萎縮していくので、自己満足でもそれでいいと納得できれば、独自路線を進みつつ全力で取り組めます。絵を人に見せると言うのは非常に勇気のいることですが、周りに絵を描く人がいないと絵を描くこと事態が凄いことだと言うカルチャーショックのようなものが広がります。ですからうまい絵も下手な絵も総合的に受け入れる土台と言うものができるので、絵を描く人がいないコミュニティーの中で自分の絵を発表するとただただ驚かれると言う不思議な空気が流れます。

しかし本当にいい絵であれば、人の反応は大げさなほどに大きくなりますし、結果良くなくてもこき下ろされるようなことはありませんので、人のことは気にせずに自分の世界観を放出するだけで自分もすっきりした気持ちで絵を描き続ける事ができます。ただ問題はコミュニティ-が絵を描く人達の集合体である時に、自分の絵に対する評価を気にしないでいられる人は少なく、いわば競争社会のような土壌が出来上がっていると、勇気を出してそれらの人々に対する反応は否が応でも気になってしまいます。そういった厳しい絵画競争の渦の中で、自分の絵を表現する時に、最も大切にしなければならないことは、絵は自己満足の世界であると言う信念を前面に押し出して、批判に対する受け皿を持ちつつも、批判は成長するための起爆剤と捕らえていく事が重要です。

たとえば、4ヶ月かかって造り上げた油絵を展覧会の審査員の「不合格」の一声で全てが水の泡になることがありますが、ようするに展覧会に当選することを目的にするのではなく、自分のレベルがどの位であるのかを認識することを前提に考えて取り組めば何の問題もなく次のステップを目指して、絵を描いていく事ができます。絵は多面的な光を放っているので、難しく考えすぎてそれまで独自路線を走っていたものが、急に要素が複雑化したり、力強さがなくなったりと、マイナス面が浮き立ってしまいますので、さらにビジョンが劣化してしまうことも含めて考えると、自分を信じること以外に道はありません。

ただし絵を描くことを辞めずに、常に自分に足りないところは何であるのかを意識しながら、描いていく事をお勧めします。それらの原因が分かれば改善点をシンプルに実感できるので、そうすれば後は改良に改良を重ねて、自分の意図する設計図を組み立てればどんな批判を受けようとも再挑戦していけます。ただ人の批判や意見を無視するのではなく、それを踏まえた上で自分の居場所を再構築していけばいいのであって、無理に方向性を変えたり技術力だけを求めるのではなく、表現力とは何か総合的な視野を持って見つめなおしていく事が重要です。

初心者で絵の技術が乏しかったり、何を描けばいいのかも分からない人にとっては、多くの絵を描くことで、ビジョンを構築していく事ができますが、ある程度の技量が身に付いたら、一端それまで培ってきた技術を捨てて、再度基礎を学びなおすと、それまで積み上げてきた間違った方向性を軌道修正していく事ができるので、長年絵に取り組んでいても進歩がないなどと悩みを続けているような人にはお勧めです。

それでも相対的な評価にひるむ事無く自分の納得いくまで突き詰められる人であれば、新境地を開くきっかけを掴みやすくなりますので、恐れは捨てて自分のマイナス面は受け入れつつ、日々学んでいく姿勢を持って取り組み様々なことを学習し取り入れていきましょう。そうすれば有利な環境を作る事ができます。