自分が興味のある人物の顔を描いてみたくなった事はないでしょうか。しかし特徴を思い出せずに断念するパターンもあるはずですし、描いてみたけど全く似ていないということもあるので、似顔絵を上達させるためには鏡を見て,普段見慣れている自分の顔を描くことをお勧めします。道具は画用紙と鉛筆があれば大丈夫です。しかし何を捕らえて描いたらいいのか分からないと思いますので、まずは目から描くといいでしょう。最初は形が崩れてもかまわないので、目、鼻、口という順番で描いていきます。それができたら、もう一度目を描き直します。これはバランスの微調整を兼ねているので、角度、大きさ、鼻や口との距離感を気にしながらここは違うと思ったところを、消しゴムで消して修正していきます。しかしこの時点では、完全な一致を目指す必要はありません。

目ができたら同じように鼻と口を修正します。そして、眉毛と顔の輪郭、髪の毛を描いて完成・・と言いたいところですが、その時点で似ていない場合にはさらに対処しなければいけないポイントがあります。それは顔の輪郭を目、鼻、口からの距離を確認して、もしズレが生じていたら正確な位置関係に合わせなくてはなりません。必要であれば髪の毛も同じようにしていきます。要するに似顔絵で重要なのは、パーツの配置のズレを微調整することなので、バランス感覚というものを身につける必要があります。

この時点でまだ似ていないと言った場合は、一端別の視点に立ってみる必要があります。別の画用紙を用意して、顔の輪郭と目・鼻・口・耳・眉毛を四角形を用いて伸ばしたり縮めたりしながら、配置していきます。そして髪の毛だけは、性格に描くようにします。この作業は、パーツの正確な位置と大きさを把握するための作業なので、実際の似顔絵は別の用紙に描く事になりますが、パーツの位置バランスを手に馴染ませるためには必要なことです。

人間の顔の特徴は遺伝子が造り上げるわけですから、それぞれ特徴が異なってきますが、顔の輪郭に関して言うと、丸いのか四角いのか三角なのかという3つのタイプに分ける事ができますので、どういう手順で描いてもうまく行かない時は単純化していくことを考えるようにしましょう。パーツも造型を単純化していくと分かりやすくなりますが目は六角形を意識して、それぞれの辺の長さを微調整していけば描きたいと思う実物の形に近づいていくので、慎重に修正することが重要です。鼻は十角形、口は五角形を意識して線を引いていきましょう。

イラストタッチのポップさを求めるのであれば、顔は円を楕円にして微調整を行い、目は小さな点で表すと楽に描けます。その場合眉毛は直線にして、角度と目からの距離を調節していくことがポイントになるので試してみましょう。鼻は楕円か四角にし、口は直線で描きます。耳と髪は多少リアルにしてもポップなイメージで仕上がるので、ここでもバランス感覚を意識して組み立てれば大丈夫です。

美術教育の指導者は似顔絵は特徴を掴むことにこだわりを持ちますが、その特徴のポイントこそバランスにあると言えますので、パーツを完璧に描けても、位置が1mmでもずれると別の顔になってしまうことも意識して、双方の距離感を保ちながら調整し、特に目は辺の角度がずれると良くないので、注意深く観察していかなければなりません。まずは自分の顔から描き始めて慣れてきたら、有名人や身の周りの人の顔に挑戦することをお勧めします。必ず目から描いて、位置関係のレイアウトが崩れないように気をつけて、うまくいったら光と影のバランスにも注意を払い、リアルな描写にもチャレンジしてみましょう。