どうすれば人を感動させられる絵が描けるのかという回答を見出すために行うことがあります。それは1日1枚想像でいいので自由に思いついたことを絵にしてみると後からその絵を見た時に自分の技量や表現力に対して不足している要素が何であるのか順を追って確認する事ができます。ただし消しゴムを使わないで、一気に書き上げると言うのが前提にあり、場合によっては集中力と体力がないと描ききる事はできないので、決して簡単なことではありませんが、表現力を養うためには、瞬間的なひらめきや絵全体のボリュームとバランスを考える上で究極の選択をせまられる事もあり、それを勝ち抜けば一歩前進できるということも念頭に置いておくといいでしょう。

それをまずは1ヵ月を目標にして続けていき、1ヵ月後に必ず描いた絵全てを見直すようにします。そして反省点を見出しどこを改善するべきかを考え、結論が出たら次は3ヶ月を目標にして、毎日描いていきます。ただここで重要なのは、必ず反省を生かすということですが、日々変革を意識して描くことこそが、自由表現を極めるための課題と言えますので、しっかり積み上げていきましょう。この訓練は、自分が納得できるまで続ける必要がありますが、例えば象を描きたいと思っても描けない事があります。そういう時でもその場で調べる事はせずに、最後まで描き切るようにして、絵を描き終わった後で象の造型がどのようであったかを確かめます。

そうやって、分からないこと、想像できなかったことをまずは自分の想像できる範囲で描いて、後から調べるという習慣をつけていけば徐々に様々なものを描けるようになり、表現力に対する引き出しが増えますので、最低でも半年は続けることをお勧めします。ただ自己の絵に納得できない状態が長期になったときは、過去の絵に修正を加えて納得がいくまで描き続けるようにすると、従来までの即興的なスタイルから離れる事ができるので、表現形態が変わっていく可能性があり、そこから大きな一歩を踏み出せるチャンスともなるので、焦らずじっくりと取り組んでみましょう。

表現が多様化してくるに従い、さらにステップアップすることができます。それは水彩絵の具を使うことです。まずは鉛筆で下書きをしますが、あくまでも下書きなので、薄く描いておかないと絵の具を塗っても跡が残ってしまいます。ただ絵の具を使うからと言って、力む必要はありませんのでそれまでと同じように自由なスタイルで描いていけば大丈夫です。鉛筆で下書きをしたら、その下書きをなぞるように黒い絵の具を使って細筆で輪郭線のラインを引いていきます。ここで重要なのは水をあまり混ぜないようにします。水彩絵の具は使う水の量を間違えるとすぐににじんでしまいますので、注意が必要です。

ただ絵は無理をしすぎても結果的に方向性を見失ったり、思い通りの構図を描写できなかったりと、楽しみを見出せなくなることがあるので、楽しみながらやれる課題に取り組むようにしましょう。何を描くかは人それぞれ異なってはきますが、それが街並みなのか、人なのか、まずは想像する事から始めて訓練を積み重ねていった時に「これだ!」と思うものに行き当たったら比較的楽に描写できるので、常に脳をリフレッシュさせておきましょう。要するにどんな絵を描くかということを予め考えておくことも訓練うちに入るので、常に何かを想像するような習慣をつければ、いざ鉛筆を握った時でもすぐに製作にとりかかることができます。

自由表現と言うのは、むしろ人生における喜びや悲しみといった感情の放出にも繋がるので、様々な体験を通して独自の構図を見出すこともできます。